歯周炎の適切な治療方法は

歯周炎の適切な治療方法は

虫歯と並んで歯を失う病気の一つ、歯周炎は自覚症状をあまり感じないまま症状が進行し、気が付くと歯がグラグラして最後には抜け落ちてしまう怖い病気です。もし歯周炎と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。今回は歯周炎の適切な治療法についてお話したします。

 

■歯周炎について

歯周炎とは、歯周病菌によって歯ぐきや歯を支える歯周組織に炎症が起こる病気です。

歯そのものに症状が起こる虫歯と違い、歯周炎は歯ぐき全体に症状が現れます。

歯周病と聞くほうがピンとくると思いますが、歯肉に軽い炎症が起こる歯肉炎も歯周炎も同じ歯周組織に起こる炎症で、その総称を歯周病と言います。

歯周炎は、進行具合により次のような症状が起こります。

 

・歯肉炎・・・歯と歯ぐきの境目に付着した汚れが原因で、歯ぐきに起こる炎症。歯ぐきの腫れや出血の症状が見られるが、歯周病の判断材料のひとつである歯周ポケットの数値は2~3ミリと正常範囲。適切なブラッシングで改善することができる軽度の炎症。

 

・軽度歯周炎・・・歯肉炎が進行し、歯ぐきの腫れや出血に加えて歯周ポケット数値が4ミリ程度とやや高くなることが特徴。

 

・中度歯周炎・・・歯周ポケット数値が5~6ミリ程度と深くなり、歯ぐきの腫れや出血に加え、顎の骨が吸収され始めた影響で歯ぐきが下がり、歯が長く見える、口臭が強くなってくるなどの症状が出始める。また指で歯を押すと少し揺れ動く「動揺」も始まるのもこの頃です。

 

・重度歯周炎・・・顎の骨が3分の2以上吸収された状態。歯周ポケット数値は8ミリ以上と非常に深く、噛むと痛みを感じるようになる。膿をもつため口臭はますますひどくなり、歯ぐきも下がって歯の根っこが露出されるため歯が長く見える。歯を保存することは難しく、自然に抜け落ちるか抜歯になることがほとんど。

 

■歯周炎の適切な治療法とは

歯周炎と診断された場合、歯周炎の進行状況に応じた治療を行う必要があります。

歯周炎の原因はプラークや石灰化した歯石のため、歯石を取り除く治療が歯周炎の治療の基本となります。

 

・歯石除去・・・歯の表面に固くこびりついた歯石を、超音波スケーラーという器具を使って除去する治療です。歯石は歯に付着することでますますプラークが溜まりやすくなり、歯周炎の悪化を招きます。歯周炎改善のための最も基本的な治療が、超音波による歯石除去です。

 

・SRP

歯周炎が進行すると、歯の表面だけでなく歯肉の内部(歯肉縁下)まで硬い歯石が付着し、そこへ歯周病菌が入り込んで顎の骨を吸収し始めます。歯肉縁下にこびりついた歯石は器械で取ることが難しいため、キュレットという手動用の器具を使って歯肉内部の歯石を丁寧に取り除きます。

 

・F-op(フラップオペレーション)

超音波による歯石除去やSRPを行っても期待するような結果が得られない場合は、歯肉を剥離し、歯槽骨内に付着した歯石や膿を除去するF-op(フラップオペレーション)という外科処置を行います。

 

・歯周内科治療

歯石除去と同時に行う内科的治療。歯周炎は歯周病菌による細菌感染のため、抗生物質を服用して細菌の活動や繁殖を抑えるようにします。

 

 

■定期的に歯石除去を行い、歯周炎の進行を防ぐことが大切

歯周炎の治療法には歯石除去が欠かせません。悪化するとその分歯石除去も大変になります。定期検診を受け、歯石除去を行うことで悪化を防ぎます。

歯周炎はそのままにしておくと歯を残すことができなくなってしまいます。また全身の健康にも深く関わっていると言われており、お口の中だけでなく体の健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。

定期検診をきちんと受けて、歯周炎の早期発見とともに適切な治療を受け、歯周炎の悪化を防ぎましょう。


差し歯による歯茎の変色(メタルタトゥー)は元に戻せますか?

鏡で自分の歯をよく見てみると、差し歯の辺りに歯ぐきに黒ずみはありませんか?この黒ずみは被せ物に使われている金属が原因で起こる「メタルタトゥー」と呼ばれるもので、歯ぐきの色素沈着です。審美面を損ねてしまうこのメタルタトゥーを治す方法はないでしょうか。

 

■メタルタトゥーを引き起こすのは、金属素材

虫歯治療で根管治療を行った後は、被せ物を装着して歯の機能を修復します。

この被せ物には保険適用のものと自費診療のものを選ぶことができますが、保険適用の被せ物は金属が使われます。

犬歯までの前歯の場合、前装冠と呼ばれる表側が白いプラスチック、内側と裏側は金属素材になり、大臼歯の場合は全部が金属で作られる被せ物になります。

歯科治療の被せ物に使われる金属や被せ物を被せるための土台は、年数が経つにつれて金属イオンが溶け出し、黒ずみとなって歯ぐきに色素沈着が起こります。

 

■メタルタトゥーを元に戻すには?

ではメタルタトゥーの改善のためにはどのような治療が行われるのでしょうか。

 

・原因となっている金属を取り除く

メタルタトゥーの原因は被せ物や土台に使われている金属が原因のため、まず原因となっている金属素材をお口の中から除去します。

 

・被せ物や土台を非金属素材のものにする

被せ物をオールセラミックなどの非金属のものに変えることで、メタルタトゥーの心配がなくなります。また土台はファイバーコアやレジンコアなど白い素材のものを使うようにします。

 

・オールセラミック

金属を全く使わない、白くて審美的にも優れている素材はやはりオールセラミックでしょう。特に前歯にとても適しており、美しい口元を取り戻すことが可能です。

 

・ジルコニアセラミッククラウン

奥歯の場合、噛む力を必要とすることから同じ白い被せ物でもオールジルコニアクラウンが適しています。人工ダイヤモンドと言われているジルコニアは強度にとても優れており、奥歯に最適です。ただしやや人工的な白さのため、審美面ではオールセラミックに劣るため前歯ではあまり使わないほうがいいでしょう。

・ハイブリッドセラミック

セラミックにレジンを混ぜたハイブリッドセラミックは、オールセラミックと比べると若干審美面は劣りますが、それでも金属を使わない美しい歯を手に入れることができます。

オールセラミックと比べると安価ですが、強度はやや劣ります。

 

■レーザー治療でさらにきれいな歯ぐきを取り戻す

メタルタトゥーの原因である金属素材をお口の中から取り除き、非金属の素材を使った治療を行うことがメタルタトゥー改善治療の基本です。それと併せて歯科用レーザーを使用して黒ずんだ部分を治療することで、さらにきれいな歯ぐきを取り戻すことが可能な場合があります。

ただし歯科用レーザーは、どこの歯科医院にもあるとは限りません。メタルタトゥー治療の治療経験が多い歯科医院ならレーザーを導入していることが多いと思いますので、まずは歯科医院に尋ねてみて下さい。


根管根充とはどのような状態のことを言うのか

神経まで達した虫歯や、外傷による歯の破折で神経がむき出しになった場合などは、神経の治療である根管治療を行う必要があります。今回は根管治療と、根管治療の最終段階である根管根充についてご説明いたします。

 

■歯を残すための根管治療について

歯はエナメル質、象牙質そして歯髄で構成されています。

歯髄には歯の神経や血管が通っており、ここに何らかの原因で炎症が起きると、激しい痛みを伴います。そのままにしておくと炎症が根の先まで広がり、歯ぐきの腫れや膿を伴い、非常に強い痛みを伴います。このような事態を避けるためにも原因となっている細菌を取り除き、根の炎症を鎮める根管治療を行う必要があります。

根管治療は次の3つの治療法があります。

 

・抜髄・・・神経のある歯が細菌感染により炎症を起こす。歯の神経を取り除いて根の中をきれいに消毒する。

 

・感染根管治療・・・以前治療を行い、被せ物がセットされている歯の根管内部に再び細菌感染が起きている状態。被せ物を取り除いて根の中を消毒する根管治療を行うこと。

 

・再根管治療・・・はじめての根管治療後がうまくいっていない状態。根管治療を終えたにもかかわらず、いつまでも違和感や痛みが残る、あるいは月日が経ってこのような状態が起こる場合、最初の根管治療で細菌が完全に取り切れていないことが原因と考えられる。

 

■根管根充とは

根の中をきれいに消毒し、細菌を完全に取り除いたら最終的な薬を詰めて根の中を密閉し、細菌が入り込まないようにします。これを「根管根充」といい、根管治療の最終段階です。

根管根充を行ったらレントゲン写真を撮影し、きちんと根の先まで薬が詰められているかどうかを確認し、根管治療を終えます。

問題がなければ土台を立てて被せ物の型取りを行い、噛む機能を取り戻すための修復治療へと進みます。

 

根管根充で大切なことは、根の先までぴっちりと薬が詰められているかどうかです。根の先まで薬が詰められていないとわずかな隙間から細菌が入り込み、再び違和感となって現れます。

 

■根管根充を終えるまでは治療を中断しないこと

根管治療で大切なことは、根の治療を終えるまでは決して通院をやめないことです。患者様の中には痛みがなくなったから、忙しいからと根管治療の途中で通院を中断する方もおられます。特に痛みが激しい場合、抜髄を行うとウソのように痛みが治まるため、通院しなくなる患者様が多いことも事実です。

しかし根管治療を途中で止めてしまうと、根の中に残っている細菌が増殖し、いつまでも痛みが引きません。悪化してしまうと最悪の場合、抜歯しなければならなくなってしまいます。

根管根充を終えるまでは決して勝手に通院を止めないことを心がけて下さい。

 

■根管治療を得意としている歯科医院を選ぶこと

根管治療はどこの歯科医院でも行なっている反面、高い技術と精巧な治療を必要としています。少しの細菌の取り残しや根管充填がうまく行われない場合、再治療を繰り返し、最終的に歯を残せなくなってしまいます。

大切な歯を残すための根管治療を受けるためには、根管治療の実績が豊富な歯科医院を選ぶようにして下さい。


天然歯と近い色味の入れ歯は自費だけか

歯を失ってしまったら、噛むための機能を回復させる治療が必要です。欠損部分を補う最もポピュラーな治療法は、やはり入れ歯でしょう。入れ歯は保険適用で安価で製作できるところが大きな魅力です。しかし自費のものと比較すると出来上がりに差が出てしまうのも否めません。保険適用で入れ歯を作製した場合、天然歯と近い色味を再現することは難しいのでしょうか。

 

■保険診療の入れ歯の特徴とは

保険診療で部分入れ歯を作製した場合、安価で治療できることが大きなメリットです。

しかし入れ歯に限らず、どの治療でも保険診療と自費診療では仕上がりなどに差が付くことは否めません。保険診療は最低限の機能回復を取り戻すことを目的としており、審美面はそこまで考慮されません。したがって保険の入れ歯は金具が見えてしまう、プラスチックのため摩耗しやすく変色もしやすいことがデメリットとして挙げられます。

特に人工歯部分はプラスチックの特性上、使用しているうちに汚れが付着し、黄色っぽく変色してきます。

保険の入れ歯の場合、審美面と耐久性における問題点を抱えていると言えるでしょう。

 

■自費の入れ歯

では自費の入れ歯はどうでしょうか。

自費診療の場合、保険のように制約を受けることはありません。治療工程も保険と比べると時間をかけて丁寧に作製されるため、非常に精度の高い入れ歯を作製することが可能です。

 

床(しょう)と呼ばれるピンクの部分は厚みがあり、違和感があると思います。

いっぽう自費診療の入れ歯の場合、床の部分にシリコンや金属を使うことで食事を美味しく頂けることが可能になります。

また人工歯にセラミックを使用することができることは、審美面において保険と自費に大きな差が出ることになります。

セラミックは陶器の素材で白く美しい、天然歯に近い素材です、汚れもつきにくく、見た目が非常に美しいという特徴があります。したがって見た目にも天然歯と近い色味の入れ歯であると言えるでしょう

 

■自費の入れ歯は、より天然歯に近く美しく作製できる

保険と自費を比べると、どうしても審美面に差がついてしまいます。もちろん保険診療でも患者様にフィットした入れ歯を作ることは可能です。しかし素材をはじめとした各種制約があり、プラスチックしか使えないということは、将来的な変色のリスクも持ち合わせています。

保険の入れ歯は機能回復手段として最もオーソドックスな治療法です。しかしより美しさを求めた入れ歯をご希望の場合、保険の入れ歯と自費の入れ歯には大きな差がついてしまいます。

それぞれの特徴をしっかりと理解し、ご自身に最も適した入れ歯を作製するようにするとよいでしょう。


歯間ブラシとフロスどちらを使うべきですか?

お口の中の衛生環境を良い状態に保つためのアイテムとして、歯ブラシ以外にデンタルフロスと歯間ブラシがあります。どちらも歯ブラシだけでは取り切れない汚れを取り除くために必要な道具ですが、フロスと歯間ブラシのどちらを使うべきなのか迷う方もいらっしゃるでしょう。

今回は歯間ブラシとフロスについてお話したいと思います。

 

■虫歯や歯周病の原因はプラーク

虫歯や歯周病の原因は、磨き残しから形成されるプラークです。プラークは歯の間に残っている食べかすの糖分をエサにして細菌が作り出す物質で、虫歯や歯周病を引き起こしてしまいます。虫歯と歯周病にならないためにはプラークコントロールを行い、お口の中にプラークが作られない環境を整えることが大切です。

その基本が、日常のブラッシングです。歯ブラシを使って丁寧に歯を磨き、飲食後のお口の中を清潔にすることが、プラークコントロールの基本です。

しかし、実は歯ブラシだけでは汚れを完璧に落とすことは難しいのです。

 

歯ブラシを使って歯の表面をきれいに磨くことはできても、歯ブラシだけで歯と歯の間の汚れを掻き出すことはなかなか難しいものです。特に虫歯は歯と歯の間に発症しやすく、歯ブラシで取り切れない歯と歯の間の汚れが原因と考えられます。

つまり歯ブラシは歯の表面と、歯と歯ぐきの境目の汚れをきれいに落とすことはできても、歯の間の汚れを取ることは難しいと結論付けてよいでしょう。

 

■歯と歯の間に残った汚れを取り除くフロスと歯間ブラシ

そこで是非使っていただきたいのが、デンタルフロスと歯間ブラシです。

どちらも歯の間に残った汚れを掻き出すための清掃アイテムですが、歯の部位によって使い勝手が異なります。

 

・フロス・・・歯全体に使用することができる。適度な長さに切って指で巻き付けて使うタイプとハンドルタイプがあります。どの歯にも使うことができますが、初心者はハンドルタイプが使いやすいかもしれません。

また歯並びが悪く、デコボコした歯並びの方は歯ブラシだけではまず汚れをとることはできません。歯列に問題がある方の必須アイテムです。

 

・歯間ブラシ・・・歯と歯のすき間が広めの部位に使うことをおすすめします。特に小臼歯と大臼歯は歯ぐきが下がるにつれて歯と歯の間に三角のすき間が生じてきます。そこに食べかすが溜まりやすいため、臼歯部は歯間ブラシを使って汚れを掻き出すようにするとよいでしょう。

歯間ブラシはサイズがあり、極細のものからやや太めのものまで数種類揃っています。歯間に合わないサイズのものを無理に使うと歯ぐきを傷つける恐れがあるため、サイズ選びに迷った場合は歯科衛生士に相談すると最も適したサイズを教えてくれるでしょう。

 

■部位に応じて使い分けるのがオススメ

フロスと歯間ブラシについてお話を進めてきました。フロスは歯全体に使用することができるため、どちらかといえばデンタルフロスがおすすめです。

しかし歯のすき間が広い人や歯ぐきが下がりがちな人は、フロスよりも歯間ブラシでしっかりと汚れを掻き出すほうがいいかもしれません。

よりしっかりと汚れを落とすためには部位に合わせてフロスと歯間ブラシを使い分けるのがベストです。

 

歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを使ってプラークコントロールをしっかりと行い、虫歯などのトラブルから歯をも守りましょう。


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